データや数字だけじゃ心に『刺さる』ものを作れないという話『世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか』(山口 周著)より【読書ログ】
『世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか』(山口 周著)を読む。
「エリートになりたいいい」とは思ってなかったが、絵画とか映画とか芸術に触れるのは好きなので手に取る。
要約(個人的見解)
法整備やシステム・ルールの整備が追いつかない混沌とした世界の中で経営を引っ張っていくにはデータ・数字に依存するだけではなく、美意識が必要。
もっとざっくり要約
ここまで個人のニーズが多様化したら数字だけに頼るのは限界
法整備が追いつかないから、自身の中の善悪の判断基準をもつことが重要
あらすじと感想
タイトルの「世界のエリートはなぜ『美意識』」を鍛えるのか?」という問いに対し
昨今の市場の状況、巨大企業の意思決定のあり方、数字やシステムなどサイエンス的なものだけに頼った意思決定の弱点などの事例を出しながら、美意識を鍛えることの重要性を説き、「こういう理由でエリートはこぞって美意識を鍛えるんです。」という本でした。
アップルやディズニーなど巨大企業の経営判断の事例は面白かった。
美意識の鍛え方
ちなみに「美意識の鍛え方」も本著では触れています。
絵画を見て解釈する、文学や詩を読む、哲学に触れる、など。要は「A=B」だと断定できず色々な解釈ができるもの、自分の想像力の幅を広げられる作品に触れろ、ということなのかな。
ここで言う美意識とはアート的教養だけではなく倫理観、人としての善悪の判断、これが好きであるという志向、こういう風に世界を変えたいんだというエゴ、そういったものも含んでいるんだろうなと解釈しました。
。。。つまり好きなものを追求するのってやっぱり正義?
会社員生活(ある程度ルールが決まっているはずの社会的組織の中での生活)でも正解がないことってあるよね
特に「法整備が追いついていない」から個人の判断基準は大事という部分は「本当にそう。。。」と共感しながら読みました。
普段仕事をしていても「決してルール違反ではないけどこれってどうなんだろう(良いことではないのではないか?)」というということにぶち当たることがあります。
きれいごとばかり言っていたら競合企業に勝てないことや利益につながらないこと、また組織がうまく回らないこともあるので、いちいち行動をとめるわけにもいかずバランスですが
幸いにも上司や組織のトップが「いいから(とにかく利益のために)(慣習だから)、やれ」というタイプではなく話を聞いてくれ、顧客のためには最善を尽くそうと一緒に動いてくれるタイプなので、私は幸運な方なんだと思います。
思い出す入学式での大学教授の言葉「『教養』は他社を理解するスキルです。」
「あなた方は、このシステム化された受験競争を勝ち抜くために今まで多大な労力を勉強に費やし、見事この大学に入学したと思います。これからは、システムに勝ち抜くためではなく、他社を理解するために、たくさんの知識を学び、考える力を身に着けなさい。それは教養を身につけるということです。」
という言葉を大学の入学式でもらったことを思い出しました。この時教授が言っていた「教養」とこの著書で言われている「美意識」には近いものを感じます。
つまりさ、「数字がそうだから」って断絶するのではなくて、なんかようわからんものを「ようわからんもの」として認めて前に進む力だよね。